社長インタビュー

エンタメ好きの方、本好きの方は、
我々と一緒に感動を届ける仕事をやりませんか?
代表取締役社長
村田 茂

──これまでの社長のキャリアを教えてください。

私のキャリアは出版社(CBS・ソニー出版社:現ソニー・ミュージックエンタテインメント社のグループ会社)からスタートして、新卒で入社し、長く編集者をしていました。書籍やコミックをたくさん作って来ましたが、特に雑誌の編集歴が長いですね。雑誌というメディアは、0から1の構築ではなく「1を大きくすること」で、世の中の役に立つ新しい形での情報提供、トレンドに対して独自の意見を出していく展開、言い換えるなら情報提供者と社会を繋ぐことを行なってきました。他にも、”ソニープラザ”や”ヴァージン・メガストアーズ”などのフリーペーパー(店頭雑誌)を制作していました。業界のビジネス構造の理解を深めて、新しいビジネスの仕組みを作ることも好きでした。

その後、ソニー・ミュージックエンタテイメントグループの中で、放送事業やイベント事業などさまざまなエンタメに携わってきました。なので、商材として得意としているのは、やはりエンタメですね。メディアの「1を大きくすること」だけではなく、究極的には「0から1の創造」です。

「0から1の創造」「1を大きくすること」、このふたつの組み合わせが、エンタメビジネスの基本です。その象徴となるソニー・ミュージックエンタテインメント社側で運営しているビジネスのひとつが、小説&イラストUGCサイト「monogatary.com」です。このプロジェクトから誕生したのがYOASOBIになりますが、小説を音楽にする新しい取り組みがヒットし、今では原作小説のコミカライズ、音声ドラマ化、映像化など、幅広い展開をしています。当社でも、この組み合わせの別の形として、ECの知見を活かした事業ができると思っています。ちなみに「monogatary.com」の開発は、当社がサポートしているんですよ。

──「Reader Store」「コミックROLLY」「auブックパス」の運営企業は株主でもありますが、どのような関係でしょうか。

受託ではなく、あくまでパートナーです。システム構築から、販促の企画、ASPサービスの運用など、あらゆる面において株主と一緒に行っていて、非常に良い関係ですね。

「Reader Store」「コミックROLLY」を運営するソニー・ミュージックエンタテインメント社は、エンタメのコンテンツが豊富で、さらにソニーグループには最先端のテクノロジーも整っています、また、「auブックパス」を運営するKDDI社は通信キャリアですから、スマホやネットに関するテクノロジーはもちろん、インフラもアセットもたくさん持っています。株主の良いところを最大限に活用させてもらえば、もっと面白いことができるでしょう。新しい技術やトレンドにアンテナを張り、それを取り込んで、エンジニアリングの腕を上げていく。当社のエンジニアには、そういう姿勢を求めています。

──今年度のビジョン、具体的な取り組みについて教えてください。

2020年4月に、新しいビジョンとして「エンタメ×テック」戦略を掲げ、コンテンツ事業(エンタメ)とプラットフォーム事業(テック)に注力し、5年目に入りました。この期間はまさにコロナ禍でしたが、世の中のデジタルシフトが一気に進み、新しいビジネスが生まれ、ワークスタイルも大きく変化しました。基幹事業である電子書籍ビジネスは、出版業界に巻き起こっているパラダイムシフトの中で急速に成長を遂げています。商品の購入、決済のデジタル化だけではなく、コンテンツそのものの電子フォーマット化により、新しいデバイスであるスマホユーザーを獲得し、今では業界を牽引しています。ネット投稿による小説やコミックなどのUGC作品が商品化され、ボーンデジタルによるヒット作品=新たな才能が次々に誕生しています。音楽、映像しかりエンタメがネットプラットフォームで誕生する時代が到来しました。

そんなデジタルシフトが進んだ世界で、我々が運営する電子書籍ストアも、UIUXの向上に注力し、CRMや各種分析などデジタルマーケティングを活用した、まさにデジタルドリブンなビジネス運営を強化しています。そして、クリエイターが作品を発表出来るプラットフォーム、ファンを支援するサービスの開発も進めています。ですが、電子書籍ストアの重要な役割は、新しく生まれてくる素晴らしい作品をがっつり読んで、しっかり選書し、読者のみなさんに紹介していくことだと思っています。やはり、エンタメ愛、コンテンツ愛、本愛、コミック愛…が絶対に必要であると改めて感じています。エンタメ好きの方、本好きの方は、我々と一緒に感動を届ける仕事をやりませんか?

ブックリスタでも、オリジナルコミックの本格的な制作・販売を開始しました。『モブなのに過保護な公爵に溺愛されています』『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』などのwebtoon作品が、LINEマンガで次々に総合ランキング1位になるなどヒット作品が生まれています。ぜひ読んで欲しいです。そして、並行して、昨夏には、新しいコミックアプリストア「コミックROLLY」をローンチしました。すでにユーザー数は30万人を超え、コンテンツ数も1万タイトルを超え日々増加しています。オリジナル作品も100タイトルに近づいて来ました(2024年4月時点)。エンタメ×テック戦略を具現化すべく推進していきます。

電子書籍以外の新規領域では、アジャイルで仮説検証を進めています。推し活の領域では、- 推し活アプリ Oshibana - が累計利用者60万人を突破。App Storeのレビューでは引き続き4.83と最高評価の水準を維持しつつ、他事業者や応募者の方々が驚くような利用継続率やユーザーからの支持の声が集まってきています(2024年4月時点)。今後も様々な機能を追加しながら、推し活領域の派生サービスもリリース予定です。クリエイターの領域では、ショートマンガクリエイターを対象とした「YOMcoma」だけでなく、より広義のクリエイターに向けたサービスを複数検討しています。創作活動支援の一環としてAIの活用も開始。アジャイル、スクラムでMVPスタイルを採っていて、日々検証に検証を重ねアップデートを繰り返しています。今期からは、新規事業については、エンタメの解釈領域を"ライフエンタテインメント"にまで広げ、AIの普及やインバウンドの復活などの環境変化を視野に新たな事業開発に着手しています。

この4年間で70人以上のエンジニアを採用し、既存事業の内製化を完了。並行して、ビジネスプランナー、編集者、営業、人事労務などビジョン実現のための人材採用・育成にも注力していますが、コロナ禍で急速に進み過ぎたDX化の弊害も出てきているように感じています。それは、やはりコミュニケーションの低下だと思います。withコロナではなく、afterコロナと捉え、beforeコロナ時代の「リアルコミュニケーション」の素晴らしさと、コロナ禍で得たDX化の良いとこ取りのハイブリッドスタイルへアップデートしたいと思っています。企業にとって、社員にとって、最適化されたワークスタイルをしっかり考えて行くのが今年のテーマです。

テックとしてのトピックスは、これまでのブラウザベースのストアに、アプリを加えることにより、取次機能、入稿システム、ビュ―アーなど電子書籍ビジネスをワンストップ、トータルで開発・運用することが可能になりました。電子書籍入稿システム、売上管理ツール、かんたんビューアーなど業界のみなさんに活用いただいている弊社のソリューションがありますが、今後は今まで以上に、業界の課題解決に尽力し、出版業界全体への更なる貢献に寄与できればと思います。

引き続き「エンタメ×テックの推進、加速」ですが、やはり「クオリティにはこだわりたい」と思っています。エンタテインメントとテクノロジー。どちらもセンスを問われます。今年もダサいことはやりたくない、ですね。

──メンバーに対する想い、入社される方への期待を教えてください。

当社は、メンバーが自ら積極的に動き、パフォーマンスやクオリティを高めていくワークスタイルで、それを会社として、部門として、最大限バックアップしています。入社される方にも、自社の事業を創造し、育成していくことにモチベーションを持って取り組んでいただきたいと思います。

また、当社の行動指針である「自由を楽しもう」「挑戦を楽しもう」「違うことを楽しもう」「責任を楽しもう」「お客さまと楽しもう」に共感し、前向きに行動していただけたら嬉しいです。

当社の方針に共感していただける方のご応募、ぜひお待ちしています。

代表取締役社長 村田 茂

1990年、株式会社CBS・ソニー出版入社。音楽誌、コミック、単行本などの編集を経て、『デジモノステーション』を創刊、編集長となる。2007年に株式会社ソニー・マガジンズの代表取締役に就任。その後、放送事業との統合先である株式会社エムオン・エンタテインメントの代表取締役を経て、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント デジタルコンテンツ本部の本部長に就任(現職)。2020年4月1日より、同社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。2023年より法政大学で教鞭をとる。