トップメッセージ

代表取締役社長に就任された今年4月は、
コロナ禍で大変だったのではないでしょうか。

そうですね。しかし逆にハッキリしたこともあります。例えばコミック。電子書籍におけるコミックの業績は右肩上がりでした。実際、テレビなどでもコミック系ストアのCMがかなり多かったですよね。日本で電子書籍の販売が本格化してから10年。紙の書籍のマーケットを電子書籍が埋める形で伸びたという意味で、象徴的な現象だと感じました。

ただ、紙と違い、電子書籍はエンジニアリングが伴うものです。ひとつのコンテンツを、動画サイトやVRスコープで“観る”、オーディオブックなどで“聴く”というように、“読む”以外の新しい体験をエンドユーザーにもたらす。つまり、コンテンツのマルチ化に伴う“エンジニアリングの腕前”を試される段階に来ています。そこで私は当社を、エンタテインメント×テクノロジーで新しい価値を創造する企業へ、一気に成長させたい。“読む”だけの本からの脱却を図り、ネクストステージに行きたいと考えています。

具体的には、どのようなことに取り組まれていく予定ですか?

ほんの一部ですが、例えばビジネスのターゲットとして3つの層を狙っています。

1つ目は、エンタテインメントが本当に大好きで、コンテンツにとても詳しい“マニア”の皆さん。この方々が本当に好きになれるものを提供できないか?ということを模索しています。

2つ目は、今回のコロナ禍によって、スマートフォンのリテラシーが向上した“シニア”の皆さん。特に、大都市圏というよりは地方にお住まいの方々ですね。この方々が、スマートフォンを使って親和性の高いコンテンツにリーチできる環境を作りたいと考えています。

3つ目は、向学心の旺盛な“ビジネスパーソン”の皆さんに向けたコンテンツ作りです。コロナ禍を経て、仕事も余暇も“自宅で、そしてオンラインで”ということが大きなテーマとなっています。特定の場所に行かなくても朝活ができるテキスト、交流のためのコンテンツなど、当社が提供できることはたくさんある。そう考えています。

“エンジニアリングの腕前”が試される中で、どのようなエンジニアを求めていらっしゃいますか。

画一的な人物像はありません。ただ、応募してくださる方を見ていると、受託よりも自分の事業として、責任も負いながら挑戦していきたい!という志向の方が多いようです。発注元のためではなく、自分のために事業を作り、自分で稼ぎたい。当社はまさにそういうことができる環境です。

逆に言えば、自らの責任においてしっかりアウトプットできる方であれば、働き方は問いません。例えば出退社時間については、社員の裁量に委ねています。スキルには自信があるけど対面での仕事が苦手…という方はリモートワーク中心でも大丈夫です。

当社は現在、開発スピードを上げ、エンジニアリングの知見を蓄えるために、内製化を進めています。このタイミングで仲間になってくださった方は、新しい体制の“オープニングメンバー”として活躍できます。エンタテインメントが好きで、テクノロジーが得意。そんな方と一緒に、エンドユーザーに新しい体験を提供していきたいですね。

“Reader Store”と“ブックパス”の運営企業は株主でもありますが、どのような関係でしょうか。

受託ではなく、あくまでパートナーです。システム構築から、販促の企画、ASPサービスの運用など、あらゆる面において株主と一緒にやっていて、非常に良い関係ですね。

“Reader Store”を運営する株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは、エンタテインメントのコンテンツが豊富で、さらにソニーグループには最先端のテクノロジーも整っています、また、“ブックパス”を運営するKDDI株式会社は通信キャリアですから、スマホやネットに関するテクノロジーはもちろんインフラもアセットもたくさん持っています。株主の良いところを最大限に活用させてもらえば、もっと面白いことができるでしょう。内製化は、そのための施策でもあります。

新しい技術やトレンドにアンテナを張り、取り込んで、エンジニアリングの腕を上げていく。当社のエンジニアには、そういう姿勢を求めています。

ありがとうございます。最後に、村田社長から“オススメの書籍”を紹介していただけますか?

“オススメ”と言えるかどうか分かりませんが、今私は“船長(ふなおさ)日記”という本を読んでいます。

これは江戸時代後期に、人類史上最長とされる漂流日数を経験した商業船の船長の話です。尾張から江戸に向かった商業船・督乗丸が、復路で遭難。484日も漂流してアメリカで救助され、アラスカなどを経由し、実に4年もかけて故郷・尾張に戻ってくるという…ドラマティックですよね。

私は原書や解説本と併せて読み進めているのですが、とにかく面白い。ただ、残念なことに電子化されていません。私はこういう名作を発掘し、熱く伝えるということも社員と一緒にやっていきたいと考えています。その一部は、当社が運営するエンドユーザー参加型のレビュー投稿サイト『シミルボン』でも行っていますが、“船長日記”のような知る人ぞ知る名作の電子化も、積極的に進めていきたい。この点に共感してくれる仲間を増やせたら、すごく嬉しいですね。

代表取締役社長 村田 茂氏
プロフィール

1990年、株式会社CBS・ソニー出版入社。音楽誌、コミック、単行本などの編集を経て、“デジモノステーション”を創刊、編集長となる。2007年に株式会社ソニー・マガジンズの代表取締役に就任。その後、統合先である株式会社エムオン・エンタテインメントの代表取締役を経て、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント デジタルコンテンツ本部の本部長に就任(現職)。2016年に株式会社ブックリスタの取締役に。2020年4月1日より、同社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。