#あの人に気になるあのこと聞いてみた

超絶サバイバル漫画が実写映画に!

『アイアムアヒーロー』が世界にZQNパニックを巻き起こす!!

#あの人に気になるあのこと聞いてみた 超絶サバイバル漫画が実写映画に!
『アイアムアヒーロー』が世界にZQNパニックを巻き起こす!!

一度死んだ人がZQN(ゾキュン)と呼ばれる存在になって復活! 大量発生したZQNによって崩壊しつつある社会を描いた大人気漫画『アイアムアヒーロー』が実写映画化される。
メガホンを握った佐藤信介監督と原作者の花沢健吾のインタビュー、ストーリー&キャラクター紹介で、まだ本作を知らない人にも『アイアムアヒーロー』の絶叫ものの魅力をお伝えしたい。
花沢健吾の他作品や、ゾンビ漫画とパニック漫画の傑作も紹介するので、そちらも要チェック!

PROFILE

花沢健吾(はなざわけんご)

1974年1月5日、青森県出身。漫画家。2004年に『ビッグコミックスピリッツ』において『ルサンチマン』でデビュー。主な作品は『ルサンチマン』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『アイアムアヒーロー』など。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は2010年に映画化された。

佐藤信介(さとうしんすけ)

1970年9月16日、広島県出身。映画監督、脚本家。武蔵野美術大学在学中に『寮内厳粛』でぴあフィルムフェスティバル94でグランプリを受賞。主な監督作は『修羅雪姫』『GANTZ』『図書館戦争』『万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳-』など。本年10月には監督作『デスノート2016』が公開予定。

映画『アイアムアヒーロー』の原作コミックはこちら!

アイアムアヒーロー

花沢健吾

小学館

人物描写に定評がある花沢健吾が放つパニックサバイバル漫画。2009年より『週刊ビッグコミックスピリッツ』において連載中。主人公・鈴木英雄の人物像や、彼がどのようにパニックに巻き込まれていくかが丁寧にじっくりと描かれる。ZQNに立ち向かっていく英雄以外の人々が登場する点や、海外でのZQNパニックが描かれる点も見逃せない。映画公開の直前の4月12日には最新の第20巻が発売された。

映画化の話が出る前から監督は原作ファンだった

──佐藤監督はもともと原作漫画を読んでいらっしゃったんですか?

佐藤読んでいました。まさか、この作品を映画にしようって動きが生まれるってことを考えてなくて、映画化などは抜きにして面白いと思って読んでいました。

──花沢先生は映画化の話を聞いて、どうお思いになりましたか?

花沢やっぱりうれしかったです。他のジャンルで違う作品として出てくるということがまず単純にうれしいですし、何より単行本が(笑)。

──映画化に合わせて単行本が売れる、と(笑)。大事なことですよね。花沢先生は「ここは変えてほしい」とか「ここは変えないでほしい」というようなリクエストは出されたんですか?

花沢だいぶ前のことなのであいまいなんですけど、なるべく自由にやってほしいってことを言ったと思います。自分の漫画って、描いている時点で客観視できないんですね。素直に自分の漫画を読んで楽しむってことができないので、そんな自分でも楽しめる映画にしてほしくて、自由にやってもらいたいってことを言ったような言わなかったような(笑)。

佐藤花沢先生はゾンビ映画がすごくお好きだということで、「自分が好きだと思えるような映画にするためであれば、自由にやってもらってかまわない」ということをおっしゃったのは印象に残っています。僕としてもゾンビ映画やジャンル映画は好きですし、みんなが楽しめる作品を作らなきゃってことで身が引き締まった思いがしました。

──映画化する上で原作から外せないと考えた要素は何ですか?

佐藤いろいろあるんですけど、最初の日常シーンはすごく大切にしたいなと思いました。映画は時間的な制約もある媒体なので、日常シーンではなく、事件が起こってからの部分に時間を費やしたいという気持ちもあるんですが、やはり最初の日常シーンにがんばって時間をとろうというのは思っていました。

──原作も、助走期間とも言えるパニック発生前の日常シーンがページ数を使って丁寧に描かれています。

花沢最初に編集さんと打ち合わせをしたときに、パニックものをやって大きな嘘をつくんだったら、まず最初にリアルを追求したほうが落差で読者も楽しめるんじゃないかって話になったんです。今回の映画にも日常感がしっかり出ていたと思います。

絶妙なバランスで配役されたキャスト陣

──原作には実在の人物をモデルにしたキャラクターも登場しますが、そこをどうキャスティングするのかということも気になりました。

佐藤キャスティングが今回、いちばん難しかったかもしれない(笑)。モデルとなったかたを全員起用することもできたかもしれないとは思うんですけど、そうすべきなのか、外すべきなのか、実はいろいろと悩んで。さんざん悩んだんですけど、濃淡があっていいのかなと思って。

──なるほど。それでモデルの1人である片桐仁さんはそのままズバリ出演なさって、それ以外のかたは別の役者さんが演じたということでしょうか。花沢先生は主演が大泉洋さんと聞いて、いかがでしたか?

花沢大泉さんに関しては、どちらかと言うとコメディ寄りのかたなのかなという印象が強かったんですが、映画の話が決まってから作品を何本か見たら、すごく幅の広い俳優さんだなと思って。それで、これはすごいものになるんじゃないかって思いました。あとのかたも非常にバランスがよくて、映画を見終わったあとにすべてに納得しましたね。

──ヒロインを演じた長澤まさみさんと有村架純さんについてはいかがですか?

花沢や~、かわいすぎちゃって(しみじみ)。実際にちょっと話しましたけどオーラが(笑)。かわいいとしか言いようがない(笑)。

佐藤長澤さんと有村さんにはこういうジャンルの作品であることも理解していただいて、気持ちよく楽しんでやっていただけました。

──佐藤監督は大泉さんと主人公・鈴木英雄の相性について、どう考えていらっしゃいますか?

佐藤今回の作品は、夢を追っているようでいてグズグズして、その夢が腐敗していってるにもかかわらず、それにすがってる英雄が、世界が引っ繰り返っていく中でどう変わっていくのかを追うストーリーだと思うんです。大泉さんの中に英雄のそういうところとピッタリ合うものがあるからキャスティングしたというよりも、『ラッキーセブン』というドラマ(2012年にフジテレビ系で放送)でご一緒したときに、大泉さんのくすっとほほがゆるむシーンに取り組む姿勢や演技プランがすばらしかったので、大泉さんが演じることによって英雄をフィクション性の中でリアリティをもって描けるんじゃないかと考えたんです。

──花沢先生にとって主人公の英雄はどういう人物なんでしょうか?

花沢最初の段階では、僕をそのままトレースした感じで作っていったほうがリアルになるだろうと考えて、そこから始まってるんですけど、徐々にパニックが起きて英雄が活躍せざるをえない状況になって、僕からズレてきてるっていう印象があります。

──ああいうヒーロー性はご自身の中にないんですね?

花沢僕はもっと早く死ぬと思います(笑)。だから、なんかどんどんヒーローっぽくなって困ったなって(笑)。

──今回の作品で映像で動いてる大泉さんを見ても「英雄=自分だ」っていう感じはしないですか?

花沢あ、でも、小学館でのシーンとかはリアルで、正直見たくなくて、すごいどんよりしちゃいました(笑)。

──漫画原稿を持ち込んだ英雄が編集者にものすごくぞんざいに扱われるシーンですね。監督、成功しましたね!

佐藤(笑)。

原作者がやりたいと思ったことが見事に映像化された

──“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれる感染者の特殊メイクや動きの描写も印象に残りました。

佐藤特殊メイクは当然こだわりが満載なんですけど、動きに関してもすごく研究したというか。「それじゃゾンビになっちゃうよ」っていう合い言葉もありました。いつものゾンビとZQNは違うじゃんっていうのを、みんなで大真面目に研究して。模索して何度も何度もやっているうちに「こんな感じかな」っていうのが見えてきましたね。

──たしかに、最初に登場するZQNの動きもインパクトがありました。

佐藤それから、彼ら(ZQN)にはキャラクターがあるんです。時にすごくキュートだったりして、憎めないって言うとおかしいんですけど、そういうキャラクターが大事かなと思ってキャスティングにもこだわりました。

花沢アウトレットモールの屋上で観察していると彼らのかつての日常の記憶や習慣が出てくるというシーンは、僕がやりたかったことが映像化されていると思って、すごくうれしかったですね。

──あのアウトレットモールはどこで撮影したんでしょうか?

佐藤韓国です。日本でロケハンを行って候補はいくつかあったんですけど、いろいろ諸条件を考えるとあっちのほうがいいかなと。

──邦画では珍しいド派手なカーアクションも展開されますが、あの撮影も韓国ロケですか?

佐藤一応、日本の高速道路もロケハンしたんですけど、こっちがやりたいことを提案すると無理だということだったので。いろいろ考えたんですが、国外で撮るしかないってことで韓国に行って撮りました。

──アクション面では、ラストのZQNとの戦いの特大ボリュームにも驚かされました。

佐藤クライマックスにしたいと思った原作の戦いを、舞台を変えて描きました。追いつめられていくどうしようもなさを最後に出せないか、ラストの戦いまでいろんなことが起きるけど、それらとも違う空間やドラマを作れないかと考えて、ああいうものにしました。

映画ならではの英雄らしいシーンも生まれた

──花沢先生は今回の映画をご覧になって、いちばん印象に残ったシーンはどこになりますか?

花沢英雄がロッカーの中に隠れて葛藤と妄想を繰り返すシーンは大好きですね。これこそ、漫画ではできないことを映画でやってくれているなと思って。あのシーンだけで主人公のいろんな感情がすごく出ているので、正直くやしいと思うくらいです。

──あそこは、すごく英雄っぽいシーンなんですね。

花沢英雄のダメな部分も出ているし、でも人を助けるために飛び出そうともする。あの繰り返しは「ああ、やられたな」って感じでしたね。

──英雄の葛藤と妄想が予想以上に何度も繰り返されますから、ああいう描写には勇気が必要だったのでは? 監督としては躊躇せずに描けましたか?

佐藤いろいろ練っていく中で、作品の尺の制約もあって、あのシーンを無くしてみようかって案も出たんですけど、「いや、ここはキーになるシーンだから絶対になくしちゃダメ」っていうのは初めのほうからあったんです。あのシーン、けっこう複雑なんですよ。特殊メイクもいろいろ、1日やそこらで撮れるものではなくて、時間をかけて撮っているんです。ですから、躊躇とかそういうことではなくて、むしろ力を入れて取り組みました。あそことラストで作品内のピークを作りたいと思ったんです。

──では、最後にこれから映画をご覧になるかたがたにメッセージをお願いします。

佐藤日本での上映に先行して海外の映画祭などでお客さんと一緒に見る機会があったんですが、非常にたくさんの人が興奮して手を叩いてよろこんでくれました。日本映画の中でも昨今ないピークを形成した映画になったと思いますので、ぜひ劇場で楽しんでもらえたらなと思います。

花沢ここまで原作者が納得できる作品っていうのも中々ないのではないかと思うぐらい、自信をもっておすすめできますので、ぜひ映画を見てもらって、見終わったら続きは漫画で(笑)。

──映画はいいところで終わりますからね(笑)。本日はありがとうございました!

取材・文/武富元太郎
撮影/森鷹博

花沢健吾先生と佐藤信介監督のサイン入り原作コミック
『アイアムアヒーロー(19)』を、抽選で1名の方へプレゼント!!

応募期間:2016年4月20日~2016年5月16日

応募は終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました!

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アイアムアヒーロー

花沢健吾

小学館

人物描写に定評がある花沢健吾が放つパニックサバイバル漫画。2009年より『週刊ビッグコミックスピリッツ』において連載中。主人公・鈴木英雄の人物像や、彼がどのようにパニックに巻き込まれていくかが丁寧にじっくりと描かれる。ZQNに立ち向かっていく英雄以外の人々が登場する点や、海外でのZQNパニックが描かれる点も見逃せない。映画公開の直前の4月12日には最新の第20巻が発売された。

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