食欲をそそるグルメマンガの代表格
愛がなくても喰ってゆけます。
太田出版
2005.4.16
この本のあらすじ
美味しい料理に群がるちょっとヘンテコな愛すべき面々の食欲全開ライフを描いた、よしながふみの初グルメ・ショートショート。「エロティクスF」連載当初から「夜中に読むと空腹が刺激されて危険・・・」と話題を読んだ人気シリーズ全13話に加え、描きおろし2話収録、よしながふみオススメの東京うまい店ガイド&MAPつきの豪華版。この本片手に紹介されたお店をたずねるもよし、読んでも見ても楽しい1冊です。
おすすめコメント
よしながふみといえば、同棲中のゲイのカップルの食生活を描いた『きのう何食べた?』や男ばかりが働く洋菓子店を描いた『西洋骨董洋菓子店』など、食を題材にしたマンガが多く、食べ物を美味しそうに書くことに定評のあるマンガ家です。そんな彼女の作品の中で、食欲をそそるという意味では、頭一つ抜けているのが本作『愛がなくても喰ってゆけます。』です。名店の美味しい料理をストーリー仕立てで紹介していくのですが、登場する料理が本当にどれもこれもめちゃくちゃ美味しそうなのです。お店の情報もちゃんと載っており、実際に食べに行くことができるという点も、読者の食欲をそそるポイントかもしれませんね。紹介されているお店に片っ端から行ってみたくなりました。
一風変わったグルメコメディ
忘却のサチコ(1)
小学館
2014.12.26
この本のあらすじ
佐々木幸子(ささき・さちこ)、29歳。職業、文芸誌編集者。仕事は順調、結婚も決まり、これまで完璧な人生を歩んできた。あの日までは・・・!!
美味しいものを食べた時に得られる”忘却の瞬間”を求めて、ありとあらゆる美食を追いかける!!絶品グルメ・コメディー、開幕!!
おすすめコメント
近年、女の子を主人公としたグルメ漫画が数多く出版されてきましたが、個人的にはここ数年で一番のヒットです。「結婚式の最中、理由も告げられずに新郎に逃げられる」という、世にも恐ろしい仕打ちにあった主人公・佐々木幸子。美味しい料理を食べている時だけ、その悲しみを忘れられることに気がついた幸子は、その辛い記憶から逃れるために美味しいものを探求していくという設定が、彼女の「食」の探求にある種の切実さを与えていて面白いです。ちょこっと悲しい設定ですが、良い意味でマンガ的なキャラや展開が冴えていて、とても上質なコメディマンガに仕上がっています。ちょっとズレているけど何事にも一生懸命な幸子が最高にキュートです。
かくも楽しき燻製の世界
いぶり暮らし 1巻
ノース・スターズ・ピクチャーズ
2014.8.20
この本のあらすじ
週に一度のお休みが被る日曜日。 頼子と巡は、この一日を贅沢に過ごすため、燻製に挑戦してみるのでした。 ゆっくり待って、おいしくいただく。 夜ご飯がちょっと楽しくなる、幸せグルメ漫画第(1)巻。
おすすめコメント
本作のテーマはズバリ「燻製」です。同棲中のカップルが週に一度の二人の休日を利用して様々な燻製を作って食べるというシンプルなストーリーで、燻製ハムの厚切りを豪快に焼いたものや、燻製タマゴを使ったポテトサラダ、アジの干物の燻製などなど、おいしそうな燻製料理がたくさん出てきます。ぼくもまんまと燻製をやってみたくなってしまいました。意外と簡単にできるみたいですよ。『喰う寝るふたり 住むふたり』のような同棲マンガが好きな方にもおすすめです!
魚好きのあなたへ
地魚大全
東京書籍
2009.4.1
この本のあらすじ
知っていれば、食卓が変わる、旅が変わる、出張が変わる。ご当地グルメの極めつけ、各地自慢の特産魚とその旬、極上の料理を知るためのバイブル。
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
おすすめコメント
猛烈に魚が食べたくなるときありませんか?そんなときには、日本各地自慢の海産物を旬の時期(春夏秋冬)別に紹介した本書がオススメです。文章による海産物の説明の他に、主な産地や旬の時期の詳細、オススメの調理法や美味しく食べられる名店など、図や写真ものたくさん掲載されているので、地魚のガイドブックとして重宝すること間違いなし!新鮮な魚介料理を眺めているだけでお腹がなってしまいそうです。さらに、巻末には地域別索引も掲載されていますので、旅先、出張先でのご当地グルメ探しにも一役買ってくれますよ。
読んで楽しく、作って美味しい名随筆
台所のオーケストラ
文藝春秋
2000.11.10
この本のあらすじ
戦前戦後の日本映画界を駆け抜けた大女優・高峰秀子は大の食いしんぼうで料理上手。そのレパートリーのなかから「3分から小一時間ほど」で出来あがるレシピを選び、素材別に紹介。料理初心者にも最適な、和食、中華、洋風、その他129レシピ収録。
おすすめコメント
昭和の日本を代表する女優・高峰秀子は、世界中の美味しいものを食べ歩いた大の食通であり、エッセイストとしても非凡な才能を持っていました。本書はそんな彼女が夫への愛情から生み出した129品の簡単レシピと、106篇のみずみずしい食エッセイを収録したもの。豪快で清々しくて小気味よい彼女の気風がそのまま表れたエッセイは読んでいてとても心地よいです。また作る料理も、モダンで洒脱でありながら肩肘張ったり嫌味なところがまったくなくて、これまた彼女の人柄がよく表れています。家庭で真似したくなるカジュアルなレシピが満載です。
赤瀬川流グルメワールド
ごちそう探検隊
筑摩書房
1994.2.24
この本のあらすじ
三井物産へ行って、ふかふかの絨毯に驚いたり、回転寿司を食べながらスケールの大きなことを考えたり、ヤクザの人に追いかけられた末に、牡蠣鍋を食べたりと、好奇心と食欲のおもむくままに綴ったエッセイ。
おすすめコメント
昨年10月、惜しまれながらもこの世を去った前衛美術家・赤瀬川原平。芸術の概念を押し広げた彼の好奇心の旺盛さは誰もが知るところですが、その好奇心は「食」にも向けられていたのです。グルメ界(?)に蔓延る既存の価値観を疑うその目線はまさに赤瀬川原平の芸術に対する目線そのもの。築地市場で道ばたにしゃがんで食べるラーメン、プールでヘトヘトになるまで泳いだ帰りに食べるたこ焼きなど、「食」の一風変わった楽しみ方を教えてくれる名エッセイです。それにしても病院の点滴のことをダイレクトグルメと称したのには思わず笑ってしまいました。赤瀬川原平ファン必携の一冊!
やはり食の本は奥が深いですね。日々新しい傑作が生み出されているジャンルなので、今後も食の本から目が離せません。さてゴールデンウィークを目前に控えた次週は「山登りを楽しむ本【初級編】」をお送りします。どうぞお楽しみに!