新たな「監督モノ」の傑作
神様のバレー 1巻
芳文社
2013.6.15
この本のあらすじ
アナリスト…それは、相手チームを分析し、ベンチ外から監督に作戦を支持する“チームの黒幕”。阿月総一は実業団バレーボールチーム<日村化成ガンマンズ>のアナリスト。とあることを条件に、全日本男子バレーボール監督の座を約束される。それは、万年地区予選1回戦敗退の私立中学校男子バレー部に全国制覇させることだった!
おすすめコメント
サッカーマンガ『GIANT KILLING』、野球マンガ『ラストイニング』など人気作の登場を経て、一大ジャンルとして確立された感があるスポーツマンガの「監督モノ」。本作はバレーボールマンガにおける「監督モノ」の傑作です。ずば抜けた才能のある選手のいない弱小バレー部を指揮し、レシーブやアタックの決定率、相手チームの戦略や傾向を徹底的に研究・分析することで、強豪校を打ち負かしていくという展開が爽快です。監督の立てる戦略がしっかりとしたスポーツ理論や心理学に裏打ちされていて、読み応えも抜群です。
スポーツマンガ界でも最高峰の面白さ
ハイキュー!! 1
集英社
2012.6.4
この本のあらすじ
おれは飛べる!! バレーボールに魅せられ、中学最初で最後の公式戦に臨んだ日向翔陽。だが、「コート上の王様」と異名を取る天才選手・影山に惨敗してしまう。リベンジを誓い烏野高校バレー部の門を叩く日向だが!?
おすすめコメント
『アタックNO.1』や『サインはV』といった歴代のバレーボールマンガの名作と比べても全く遜色のない面白さで、間違いなくバレーボールマンガの最高峰といえる傑作です。少年マンガらしく華のある主人公を中心に、脇を固める才能豊かで人間味のあるキャラクターたちが、テンポの良いストーリーの中で文字通り躍動します!『スラムダンク』『アイシールド21』のように、万人にオススメできる作品ですので、まだ読んだことがない方、ぜひ読んでみてください。
『シュート!』好きは見逃し厳禁!
アタック!! 新装版 1
双葉社
2014.9.27
この本のあらすじ
県立掛川高校新入生の加藤晴鷹は入学早々、同級生の小林舞子にひと目掘れ・・・・・・。バレー部マネージャーの舞子は加藤の才能を見抜き、なんとしても部員にしようと四苦八苦する。どのスポーツもかじっただけで長続きしたことの無い加藤は、果たしてバレー部の「希望の星」となれるのか!? 掛川高校バレー部の伝説がいま、幕を開ける――。
おすすめコメント
サッカーマンガの傑作『シュート!』で一世を風靡した大島司が描く本格バレーボールマンガ。天才タイプの主人公に秀才タイプのライバル(チームメイト)、小悪魔的な美人マネージャーと無愛想で強面だけど頼れる先輩といった『シュート!』でおなじみの設定で、今回も安心感は抜群です。スポーツマンガに不可欠な熱い展開と迫力満点の絵柄も健在ですので、『シュート!』ファンにもそうでない方にもオススメできる作品です。
一芸に秀でた異色の主人公
ハリガネサービス(1)
秋田書店
2014.9.8
この本のあらすじ
中学バレー部ではレギュラーになれなかった下平鉋。都立豊瀬高校ではなんとかレギュラーを目指して頑張ろうとしていると、一緒に入った同級生の3人は元・中学東京選抜であった。 青春高校バレーボール巨編!!
おすすめコメント
運動神経が良くもなく、身体能力が高いわけでもない内気で地味目な主人公・下平鉋には、一つだけ誰にも負けない特技があります。それは狙ったところに寸分違わぬ精度で無敵のサーブが打てること。ここまで一芸に特化した主人公は珍しく、主人公の成長も含めて今後の展開が非常に楽しみです。気弱だけど誰にも負けない特技がある主人公といえば、大人気自転車マンガ『弱虫ペダル』を思い出しますね。奇しくもどちらも週刊少年チャンピオンで連載されていて、なんとなく連載誌の特徴を感じさせるあたりも面白いです。
バレーの心理面を巧みに描く
少女ファイト(1)
講談社
2006.7.21
この本のあらすじ
「あの日から、友達は作らないって決めたんだから」大石練(おおいしねり)・15歳。バレーボールの名門・白雲山(はくうんざん)学園中等部に在籍。練はずっと自分を抑え続けていた。小学校時代に全国大会で準優勝したチームのキャプテンであったほどの実力を隠しながら。集団スポーツの中で、自分を殺さなければいけない理由は――。それでもバレーを辞められない想いとは――!! バレーボール群像劇スタート!
おすすめコメント
経験者である著者によるとバレーボールは異常なまでに「空気を読む」ことが必要とされる競技で、ちょっとしたことで試合の流れが大きく変わってしまうそうです。そういったこともあってか、本作ではバレーボールの技術的、戦術的な面よりも、キャラクターたちの人間関係、メンタリティの変化などといった、心理面に力を入れて丁寧に繊細に描いているように思います。「お前が そう思うんなら そうなんだろう お前ん中 ではな」など、キャラクターの名言が多いのも本作の特徴ですね。
今後の展開が楽しみな秀作
その娘、武蔵(1)
講談社
2015.2.6
この本のあらすじ
部活をやる意味って? 184cmのバレーボールJK。悩める青春ド真ん中! 男まさりの女の子・武蔵の青春バレーボール漫画! 中学女子バレーボール界の頂点に立ち、名を馳せた巻田中学校エース・兼子武蔵。全中優勝インタビューでバレーを辞めると公言した彼女は心機一転、大仙高校で自由な日々を謳歌しようとしていた。しかし、身長184cmと目立つ彼女はバレー部主将・律から目をつけられ!?
おすすめコメント
『千年万年りんごの子』の田中相の最新作がこちら。前作の土着的なファンタジー作品から一転、本作は主人公の女子高生、兼子武蔵を中心とした青春群像劇です。主人公の境遇やキャラクターの人物配置など類似点が多い『少女ファイト』ですが、『少女ファイト』が「集団競技」としてのバレーボールを追求しているのとは対照的に、本作では「集団の中の個」に焦点を当てられます。淡々とも言える抑制の効いた描写の積み重ねで、物語に大きなうねりを生み出すことを得意としている作家なので、今後の物語の行方に注目していきたい作品です。
いかがでしたか。さまざまな側面を持つバレーボールの魅力が詰まった作品ばかりなので、読むと実際のバレーボールを何倍も楽しく観戦することができますよ。さて次週は嫌なことも吹き飛ばす「笑えるエッセイ」をお送りします。どうぞお楽しみに!