読んでほしいこの本

2015/11/25 written by BOOK TRUCK

今後が楽しみな新作マンガ【前編】

さて今週は数ある新作マンガの中から特に注目の作品をご紹介したいと思います。新人作家のものからベストセラー作家の新作まで、ヴァリエーションに富んだラインナップです。どうぞお楽しみください!※ご紹介したい作品がたくさんあったので、急遽2週連続企画にいたしました。来週は【後編】をお送りします。

圧倒的リアリティの力作

空母いぶき(1)

かわぐちかいじ、惠谷治

小学館

2015.9.30

この本のあらすじ

20XX年、尖閣諸島沖で
海上自衛隊と中国海軍が衝突!!
戦闘は回避したものの、
危機感を募らせた日本政府は、
最新鋭戦闘機を搭載した
事実上の空母「いぶき」を就役させ、
新艦隊を編成ーーーー!!!
艦長は、空自出身の男・秋津―――。

おすすめコメント

さすがは『沈黙の艦隊』『ジパング』を描いたかわぐちかいじといったところでしょうか。領土問題の緊張が高まるなか、作中で描かれるような事態は決して絵空事ではありません。憲法9条による制約、米軍の不介入、専守防衛など、実際に日本が直面するであろう軍事上の諸問題に真正面から挑んでいます。着実に歩みを進めてくる中国にどのように対抗するのか?まさしく今後の展開が楽しみなマンガの一つです。

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これまた傑作の予感

雪花の虎(1)

東村アキコ

小学館

2015.9.11

この本のあらすじ

戦国の世を、義を貫いて駆け抜けた軍神・上杉謙信。
毘沙門天の化身とされる名将中の名将は、実は、女だった―――
時は享禄二年、1529年。
越後の春日山城城主・長尾為景の第3子が誕生する。
不甲斐ない嫡男・晴景に代わる後継ぎとして期待された赤子は、
しかし女児だった。
失望する為景だったが、すぐに決意を新たにする。
「この子を、姫武将として育てる」「名を虎千代とする」と――
強い父、やさしい母、穏やかな兄、健気な姉に囲まれ、小さな山城でお転婆に育つ虎千代。
その双肩に背負う運命の重さを、未だ知るよしもなく……。
越後の虎、女・上杉謙信の一代記がいま、始まる!!

おすすめコメント

いま最も勢いに乗っているマンガ家の一人、東村アキコ。ギャグ要素の強い作品を多く世に送り出してきた彼女ですが、今回は本格大河ロマンに挑戦しています。まず題材のチョイスが見事!物語の根幹をなす「上杉謙信女性説」は、歴史好きの間で根強い人気のある仮説で、作中の女・上杉謙信の造形、人物描写の実在感から著者がこの説の正しさを本気で確信していて描いているということが伝わってきます。今後どのように物語が展開していくのか楽しみです。得意のギャグやホロリとする描写も健在なので、従来の作風が好きな方にもオススメです。

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話題沸騰の「細胞擬人化漫画」

はたらく細胞 1巻

清水茜

講談社

2015.7.9

この本のあらすじ

肺炎球菌! スギ花粉症! インフルエンザ! すり傷! 次々とこの世界(体)を襲う脅威。その時、体の中ではどんな攻防が繰り広げられているのか!? 白血球、赤血球、血小板、B細胞、T細胞…etc.彼らは働く、24時間365日休みなく! 連載初回から大反響を呼んだ「細胞擬人化漫画」、待望の第1巻登場!

おすすめコメント

各所で話題沸騰の本作。国や鉄道などはまだ分かるような気がしますが、一体誰が人の体の中にある「細胞」を擬人化したら面白いかもと想像できるのでしょうか。僕自身も恐る恐る手に取った本作ですが、読んでみたらびっくりするくらい面白かったです。確かな筆致と圧倒的な専門知識を駆使して描かれる、個性的な細胞たちの活躍に注目です。白血球のことをこんなにも応援したくなるマンガは他にありません!

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予想外展開で目が点に!

僕たちがやりました 1巻

金城宗幸、荒木光

講談社

2015.9.4

この本のあらすじ

金城宗幸(神さまの言うとおり)×荒木光(ヤンキー塾へ行く)が織りなす、「今日」に満足してる若人たちの「そこそこ」を目指す青春譚。だが、このタッグが、それだけで終わるハズがない!! 因果応報、驚天動地、賛否両論の第1巻!!!!!

おすすめコメント

いたって標準的な高校に通う、平凡な現代の高校生である主人公たちが、普段何かと虐げられてきた近隣の高校に通う不良たちに軽い気持ちで報復を実行したのが、全ての始まり。一発逆転の爽快な物語になりかけ読者のテンションも上がったところで、一気に冷水を浴びせかけるような展開が待ち受けます。久々にマンガを読んでて「これはやばい」と寒気がしました。主人公たちも「あれ、俺たちもしかして取り返しのつかないことをしちゃったんじゃない?」と事態の深刻さに気づく様子がリアルでまた怖い!早く続きが読みたいです!

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優しい気持ちになれます

ふつつか者の兄ですが(1)

日暮キノコ

講談社

2015.9.23

この本のあらすじ

どんな家にも必ず、大なり小なり問題がある。恋に友情に忙しい、華の女子高生・田処志乃(たどころ・しの)。彼女の悩みは、引きこもりの兄・保(たもつ)の存在。親しい友人にも、自分はひとりっ子であると偽り、頑なに秘密にしてきた。そんな志乃の気も知らず、保が突然「脱・引きこもり宣言」をして――。まだ間に合う!? 作り直しの家族物語、開幕!!

おすすめコメント

大ヒット作となった『喰う寝るふたり 住むふたり』の日暮キノコ最新作。今回は引きこもりの兄をかかえる女子高生が主人公の家族再生物語です。前作もそうでしたが、日暮キノコは家族や恋人などの非常に近い<他者>に対して、相手の気持ちを思いやることの大切さと尊さを繊細に描くことができる作家だなと思います。読むと心がほっこりして優しい気持ちになれる素敵な作品なので、手元に置いてことあるごとに読み返したくなります。今後の展開も楽しみです!

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いかがでしたか。どれも違った面白さがある名作たちです。まだ巻数の少ない今のうちにチェックしてみてはいかがでしょうか。さて来週は引き続き「今後が楽しみな新作マンガ【後編】」をお送りします。どうぞお楽しみに!

BOOK TRUCK

2012年3月オープン。BOOK TRUCKは公園や駅前、野外イベントなどの行く先々に合わせて、その都度品揃えや形態が変わるフレキシブルな移動式本屋として、新刊書、古書、洋書、リトルプレス、雑貨などを販売。

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