読んでほしいこの本

2016/3/16 written by BOOK TRUCK

あの名作がマンガで蘇る!

今週は「あの名作がマンガで蘇る!」と題し、傑作小説のコミカライズ作品をご紹介します。原作にそれぞれのマンガ家の解釈が加えられたコミカライズ作品は、原作とはまた違った魅力があって楽しいものです。今回ご紹介するのは、原作ファンでも、そうでない方でも楽しめる作品ばかりなのでご安心を!どうぞお楽しみくださいませ。

どちらのファンにも読んでほしい!

昨夜のカレー、明日のパン

渡辺ペコ、木皿泉

幻冬舎コミックス

2016.1.23

この本のあらすじ

テツコは夫・一樹を亡くしてから、一樹の父・ギフと暮らしている。血縁はないけれど「家族」として暮らす二人。テツコはその暮らしをとても居心地よく感じていた。しかし、テツコの恋人・岩井はテツコと結婚したがっているようで・・・。人気脚本家・木皿泉のデビュー小説を、漫画界の異才・渡辺ペコが瑞々しい筆致で描く!!

おすすめコメント

原作「昨夜のカレー、明日のパン」は、「野ブタ。をプロデュース」「セクシーボイスアンドロボ」などの脚本を手がけた脚本家ユニット・木皿泉のデビュー作。大切な存在の死を乗り越えるというストーリーも、感情の抑制が効いたキャラクターたちも、義父のことを「ギフ」と呼んだりする感性も、どれもこれも非常に渡辺ペコ的!まるで彼女がマンガ化することを運命づけられていたかのような作品です。そのため、当然のように木皿泉の世界と渡辺ペコの世界が違和感なく融合しているので、どちらのファンが読んでもきっと満足していただけるのではないでしょうか。

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愛すべき変人たちの物語

木暮荘物語

山崎童々、三浦しをん

祥伝社

2011.11.8

この本のあらすじ

木造二階建ての古アパート「木暮荘(こぐれそう)」入居条件は年齢・性別・性癖 不問。 三浦しをんの大人気作をコミカライズ! 彼氏と元彼の間で揺れる花屋店員。彼女を三年間も放っといたカメラマン。覗く男と覗かれる女子大生。行き場を失った赤ん坊。第六の味覚を持つ不思議な女。木暮荘には、おかしくも温かな人々が寄り集う。

おすすめコメント

こちらは三浦しをんの人気小説を山崎童々がマンガ化。世間的には変人と呼ばれるような、一癖も二癖もある住人たちが集う小暮荘。話ごとにそれぞれが主人公となり語られていく物語は、最後に思いもよらないつながり方をします。愛すべき変人たちをほっこりと描いた作品かと思いきや、全体を通してそれぞれの抗いようのない「性」がテーマになっているので、原作は意外にどっしりとした読み口です。ただ、こちらのマンガ版は重たくなりすぎないようストーリーが程よく改変されていて、うまく万人受けしやすい作品に仕上がっています。この愛すべき多様性を、きっちりと描いた山崎童々、さすがです。

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ホラー好きを唸らせる実力派マンガ家

眼球綺譚-COMICS-

児嶋都、綾辻行人

クリーク・アンド・リバー社

2009.1.24

この本のあらすじ

―読んで下さい、夜中にひとりで―・・・新本格ミステリーの旗手・綾辻行人のホラー短編集『眼球綺譚』を奇想本格ホラー作家・児嶋都が完全漫画化!
ミステリコミカライズの先陣を切った最高のコンビネーションでお送りする幻想と怪奇の世界。単行本収録小説原作作品に加え、綾辻行人が漫画化用に書き下ろしたオリジナル作品「人間じゃない」を収録。綾辻行人による作品解説あとがきも完全収録!収録作品「再生」「特別料理」「眼球綺譚」「鉄橋」「最後の記憶」「人間じゃない」

おすすめコメント

『怪奇大盛!!肉子ちゃん』のような個性的なものから、伊藤潤二や楳図かずおのような正統派なものまで、幅広い作風のホラー作品を発表しているマンガ家、児嶋都。本作は綾辻行人のホラー短編集が原作とあって、正統派かつ本格派なホラーマンガとなっています。時折のぞかせる、丸尾末広のような耽美的表現に、児嶋都のホラーマンガ家としての引き出しの多さを感じます。それにしても、怖い&後味が悪い作品ばかりで、好きな人にはたまらないと思います。個人的には「再生」「眼球綺譚」が好きでした。ホラーマンガ、エログロに耐性のある方にオススメします。

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二人の天才を描いた大河ドラマ

銀河英雄伝説 1

田中芳樹、藤崎竜

集英社

2016.2.19

この本のあらすじ

遠く、遠く、遥かなる未来――“常勝の天才”と“不敗の魔術師”と称される二人の英雄、ラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがこの世に生を受ける。時代の波濤に煌めく二つの灯火が銀河を翔け、人類の命運を動かす――。悠久の戦乱に終止符を打つべく現れた、二つの巨星の運命を描くSF英雄譚!!

おすすめコメント

荒川弘がマンガ化した『アルスラーン戦記』に続き、またもや田中芳樹の名作がマンガになりました。こちらを手がけたのは『封神演義』でおなじみの藤崎竜。絵柄は繊細で背景の隅々まで美しく、ユーモアと少しの毒っ気を交えて、キャラクターを生き生きと描いていくマンガ家なので、彼が二人の天才を描いた大河ドラマをどのように綴っていくのか、今後の展開が楽しみすぎます。原作の重厚感にひるんで手が出ないという方にオススメですよ。

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いかがでしたか。コミカライズ版を読むと原作も読みたくなり、原作を読むとコミカライズ版も読みたくなるという無限ループです。抜け出せなくならないようにお気をつけください。さて次週は「最高に面白い辞典特集」をお送りします。どうぞお楽しみに!

BOOK TRUCK

2012年3月オープン。BOOK TRUCKは公園や駅前、野外イベントなどの行く先々に合わせて、その都度品揃えや形態が変わるフレキシブルな移動式本屋として、新刊書、古書、洋書、リトルプレス、雑貨などを販売。

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