“朗読”がこんなにもスリリングだとは!
花もて語れ
小学館
2010/9/30
この本のあらすじ
両親を亡くし地方に住む叔母に引き取られた、小学1年生の佐倉ハナ。引っ込み思案な性格で周囲と打ち解けられなかったが、ある日、ハナは「朗読」をやっていると言う教育実習生と出会う。やがて22歳になったハナが繰り広げる「癒やし系熱血『朗読』ストーリー」。
おすすめコメント
この『花もて語れ』は“朗読”というテーマを通して、本がもつ豊かな表現や読書をする楽しさを教えてくれるマンガです。本作で取り上げられる作品は、新美南吉や宮沢賢治などの童話から夢野久作や有島武郎などの文学と名作ばかり。これら作品が猛烈に読みたくなるのはもちろんですが、“朗読”という読書スタイルをこれほど刺激的に描いたところが素晴らしい!最近ではブックディレクターの幅允孝氏らによる新しい本の読み方を提案するフェス「読書のフェス」も話題を集め、読書会や朗読会など読書体験自体を共有する文化に注目が集まっていますね。
「今」を知るために世界史を読む
世界史読書案内
岩波書店
2010/5/21
この本のあらすじ
時間軸と空間軸を、読書で自由にかけめぐってみよう! さまざまなテーマの本から迫れば、「なぜ世界史を勉強するの?」と疑問を持ちながら丸暗記するだけの教科ではなく、自分と今をつかむための本当の世界史が見えてきます。古代から現代まで、背伸びして読む専門書からマンガまで、わくわくする書目が並ぶブックガイド。
おすすめコメント
「岩波ジュニア新書」は主に中高生を対象にした新書シリーズですが、難しく取っ付きづらい内容のものを優しく解説してくれることから、大人のファンもたいへん多い人気シリーズです。これでもかというほどに複雑な事情が絡みに絡んでできた今の世界情勢。今の社会や世界情勢に関心を持ちつつも、どうしてこのような社会の仕組みが構築され、ここまで拗れてしまっているのかわからず途方に暮れているという方も多いのではないでしょうか。その答えを知るためには世界史を紐解くほかにありません。本書を読めば「今」を知るために読むべき世界史の名著が見つかるはずです。
本と日常の幸福な関係
高山なおみのはなべろ読書記
KADOKAWA / メディアファクトリー
2014/11/7
この本のあらすじ
料理家・高山なおみが、鼻とベロで味わった本の話と、そこから生まれた料理の物語。全24話レシピつき! 本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』の好評連載を単行本化。原田奈々による写真も、フルカラーで収録。
おすすめコメント
料理家としてはもちろん文筆家としても大変な人気を誇る高山なおみ。本書が素晴らしいのは「文章(読書記)」と「料理(レシピ)」という著者のふたつの大きな魅力を同時に堪能することができるところでしょう。そしてブックガイドとしても秀逸で、堀江敏幸『なずな』、武田百合子『犬が星見た ロシア旅行』、万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』など、彼女の日常に良く馴染んだ本たちが、どれも無性に愛おしく感じられます。肩肘張らずに自然体でさまざまな本と向き合い、そしてそこでの気づきを日常にそっと持ち帰る。こんな自然体な本との付き合い方に憧れます。
世界一正直な名作案内!
『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
新潮社
2009/4
この本のあらすじ
文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に左右されます。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか?読むべきは『源氏物語』か『金閣寺』か?世界の古典を「大体読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す!
おすすめコメント
小説家、比較文学者として知られる著者ですが、本書に関していえば文学批評というよりは読書感想文に近いと思います。ただし深い知識と鋭い舌鋒を駆使して書かれた異常に面白い読書感想文です。客観性を重視せず、いわばまったく世間の空気(評価)を読まないために、主観的な極論が多いと感じる方もいるかもしれませんが、それこそが本書が他のブックガイドと一線を画している点でもあるのです。「世間がどう評価しようが好きなものは好き(逆も然り)」というのは本との関わり方の一つの正しい姿勢であるし、それで何の問題もないのかなと思わせてくれる一冊です。
若者たちに支持される海外の名作100冊
12歳からの読書案内 海外作品
すばる舎
2002/12/25
この本のあらすじ
さまざまな文化、風土、習慣を背景にした人々の多様な生き方を知ることで、心の世界がグングン広がり、元気とガッツがわいてきます。書評者には新たに森絵都、あさのあつこ、豊崎由美などの執筆陣が加わり、内容もさらに充実。本書をきっかけにして、海外作品の面白さにのめり込む子どもたちが続出しています!
おすすめコメント
自分たちとは異なる文化的背景や歴史的知識などを要することも多いため、国内の作品以上にガイドを必要としている海外小説。そんな理由からなかなか海外の作品に手が伸びないといった方に最適なブックガイドが本書なのです。【「感動」して心がじんわりする本】、【「ファンタジーの面白さ」が凝縮されている本】、【危険なくらい「想像力」が刺激される本】などの親しみやすく興味をそそられる7つのテーマを設定し、百戦錬磨の選者たちが珠玉の名作たちをご紹介。老若男女が楽しめるラインナップになっておりますので、一家に一冊備えておきたいガイドブックです。
楽しみながら英語の勉強ができるなんて最高!
ジャンル別 洋書ベスト500
コスモピア
2013/8/1
この本のあらすじ
ブログ『洋書ファンクラブ』で日本人向けに面白い洋書を紹介し続けている著者は、1995年にアメリカに移住。次第にブログやツイッターで「おすすめの本を教えてください」といった相談を受けることが多くなり、誰でもが必ず読みたくなる本が見つかるブックガイドとして本書を執筆しました。
おすすめコメント
海外の作品を原書で読んで英語を勉強したいといった方には120%おすすめのブックガイドです。紹介されている本は、最近の海外でのベストセラー作品から、日本人でもなじみの深い古典まで、たっぷりと500冊!このボリュームも嬉しいですね。さらに必要となる英語レベルを5段階で表示してくれているため、自身のスキルに合わせて作品を選び、徐々に難度を上げていくことができます。まだまだ日本語訳されていない名著もたくさんあります。これらをいち早く楽しむためにも、英語での読書に挑戦してみては如何でしょうか。
自分ではなかなか探せなかった本をたくさん教えてもらえるのでブックガイドを読むのは昔から好きです。今回の僕のイチオシは『世界史読書案内』『ジャンル別 洋書ベスト500』。どちらもいままであまり触れてこなかった分野へ興味を広げてくれる良書たちです。良質のブックガイドを手に未知の領域への一歩を踏み出してみてください。