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学生時代までの共同作業と言えば、気心の知れた友達や仲間たちと一緒の事が多いでしょう。しかし会社という組織の中では、一つの目的に向かっていろいろな価値観、考え方の人とともに闘う必要があります。本作『働きマン』では、ひとたびスイッチが入ると、仕事以外何も目に入らなくなる「働きマン」と化す主人公が、さまざまな仕事観を持つ同僚たちと仕事をしていく中で苦悩し成長していく物語です。仕事を通して自己実現したいタイプ、仕事はあくまでも生活手段と割り切るタイプ、趣味の延長で楽しく仕事したいタイプ、どの主張にも説得力があり、主人公の考え方が唯一の正解のようには描かれないところに好感が持てます。

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アツい。アツすぎます。『働きマン』同様に、一癖も二癖ものある登場人物たちの実感のこもった仕事哲学が入り乱れる傑作です。「人間の意地や誇り　ないがしろにするのが　仕事のプロですか？」「自分の気持ち通りに生きるって　誇れることですか？　気持ちのままに何かするのって　ただのわがままじゃないんですか？」「清い正論通る世の中にしよと努力せんかった人間が　しょせん世の中変わらんて言うたら　あかんですやろ」「ま　人におべんちゃら使えんちゅーんは　おのれに自信がないんやろな」などなど、名言だらけのマイベストお仕事マンガです。

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学生時代の経験から自分はある程度の事はできると高をくくり、意気揚々と広い世界に出てみたら、技術でも知識でも覚悟でも全く適わず、見事に伸びきった鼻を折られてしまう。これは本作の主人公・伴省吾が福岡の個人飲食店のアルバイトから、六本木の一流店のヘルプに出て体験した事ですが、社会に出ると必ず自分が井の中の蛙だったと思い知るときがきます。そこで腐るか、逆に発奮するかは自分次第。一流店の戦場のような厨房で、自分の未熟さ、甘さを痛感し、落ちるところまで落ちた主人公は、その後どう変わっていくのか。社会である程度の経験をつんで、こなれた仕事ができるようになってきた時に読むと、がむしゃらだったあのころの気持ちを思い出させてくれますよ。

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突飛な展開や設定など、ややリアリティに欠ける部分もありますが、自分の仕事と一生懸命に向き合い努力し、その分ちゃんと報われるという王道のストーリー展開は、仕事をする楽しさや、やりがいを思い出させてくれます。本に関わる仕事をしている方にとっては業界あるあるが満載で楽しいですし、そうでない方にとっても普段なかなかわからない出版業界の裏側がみれて結構刺激的だと思います。また、前述したように良い意味でマンガ的な作品で、仕事をテーマにした寓話としても読むことができるので、マンガ好きの中学生、高校生にも大変おすすめです。※同じような設定でもう少しシリアスめの作品をお求めの方は、土田世紀の『編集王』がおすすめです。

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マンガ大賞2012第2位『大東京トイボックス』の原点とも言える前日譚を収録した全２巻の『東京トイボックス』。「自分の納得いく作品を作りたい」という欲求と、「売れる作品を作らなくてはいけない」という現実との狭間で揺れるクリエイターたちの気持ちがリアルに描かれているので、ものづくりを生業にしている方、もしくは将来そういった職につきたいと思っている方に大変おすすめです。ゲームにあまり馴染みがない人でもわかりやすいように、ゲーム門外漢のキャリアOLを中心に据えている構成も見事！『大東京トイボックス』に興味のある方は、是非こちらから読み進めてみて下さい。

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徹夜続きで家に数日帰れなかったり、職場で身体を洗ったり、次第にこれらに抵抗を感じることもなくなったり・・・と、作者の実体験をネタにしてるだけあって、こういったデザイン業界の辛さや厳しさがとてもリアルに描かれています。この業界特有の常識の通じない個性的な同僚たちとのやり取りもとびきり面白いです。それでも、一般的な企業に就職した友人の話を聞いた時、ひと際理不尽な仕事を振られた時などに「もう辞めてやる！」と思っても結局辞めずに続けていくのは、なんだかんだこういった嵐のような日々が心地良かったりするんでしょうね。デザイン業界を目指している方は飛び込む前に一度読んでみた方がいいかもしれません。