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江戸川乱歩を楽しむ5つのこと

没後50年特別企画

江戸川乱歩を楽しむ5つのこと

没後50年特別企画

探偵小説の傑作ぞろい!江戸川乱歩賞 歴代受賞作を一気にプレビュー! 探偵小説の傑作ぞろい!江戸川乱歩賞 歴代受賞作を一気にプレビュー!

日本の「ミステリー小説」「探偵小説」の発展に尽力した江戸川乱歩。彼の名を冠した『江戸川乱歩賞』は、国内のエンターテインメント系公募新人賞の中でもっとも認知度が高く、最高峰と呼ばれる。その栄冠に輝き、世に出た珠玉の歴代作品を、ぜひこの機会に読んでもらいたい。

2015年 第61回 江戸川乱歩賞受賞作

2015年 第61回
江戸川乱歩賞受賞作

道徳の時間

呉勝浩

講談社

[あらすじ]

問題。悪い人は誰でしょう?――ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。

  • 2000年以降
  • 81年~90年代
  • 80年以前

第51回江戸川乱歩賞受賞作

天使のナイフ

薬丸岳

講談社

少年たちに妻を殺された桧山。4年後、そのうちの1人が殺された。復讐のために犯行に及んだのではないかと疑われる桧山。真犯人はどこに? 2005年に江戸川乱歩賞を受賞した薬丸岳さんの記念すべきデビュー作。10年たっても決して色褪せないのは、今もなお議論が絶えない「少年法」が作品の根底にあるからではないでしょうか。2015年2月にWOWOWでテレビドラマ化されたのも納得です。だからといって作品自体は説教臭いわけではなく、スリリングな展開で読み始めたらとまらない! そんなミステリーの醍醐味も満点です。

第28回江戸川乱歩賞受賞作

焦茶色のパステル

岡嶋二人

講談社

岡嶋二人はその名のとおり、アイディア担当と文章担当の二人の共同筆名です(エラリー・クイーンと同じですね)。1982年にデビューし1989年に解散するまで、ハイレベルのミステリーを書き続け、すべて講談社文庫の電子書籍で読むことができます。この作品は、乱歩賞の長い歴史の中でも、その完成度の高さで屈指の名作とされています。競馬業界を扱った内容ですが、敷居は低く、探偵役は競馬に詳しくない女性なので、読者は彼女と一緒に知識を得ながら、すいすい読み進められます。ラストの大逆転の真相に驚いてください!

第26回江戸川乱歩賞受賞作

新装版 猿丸幻視行

井沢元彦

講談社

特別なギミックで過去の人物に「転生」した主人公、という設定は今やラノベなどでは定番ですが、日本のミステリーで大胆に導入したのは1980年に発表されたこの作品が初めてでしょう。大学生の香坂明が試薬によって精神的なタイムスリップを行い、若き日の折口信夫(後に民俗学の巨人と称される)の魂に同化する。その折口が挑むのは謎の歌人・猿丸大夫とその一族が残した大暗号! この暗号を解読していく過程が実にスリリング。さらに歴史のタブーに触れる伝奇ミステリーの面白さもたっぷり盛り込まれた傑作です!

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