読んでほしいこの本

2015/10/28 written by BOOK TRUCK

笑えるエッセイ

仕事で疲れている時や、ストレスがたまっている時など、難しいことを考えたくないけど、何か本を読んで気分転換したいというときはありませんか。そんなときはクスクス、ニヤニヤと笑いがこみ上げる可笑しなエッセイが一番です。鋭い着眼点と巧みな話芸に引き込まれて、嫌なこともスッキリ忘れてしまいますよ!一編が数分で読めてしまう手軽さも大きな魅力ですね。どうぞお楽しみくださいませ!

稀代の天才ナンシー関は古びない!

ザ・ベリー・ベスト・オブ「ナンシー関の小耳にはさもう」100

ナンシー関

朝日新聞出版

2003.6.13

この本のあらすじ

2002年6月に急逝した天才コラムニスト&消しゴム版画家ナンシー関。彼女が週刊朝日に連載した全コラムの中から厳選した傑作100本を一挙収録。テレビという窓を通して時代と格闘し続けた足跡を一冊にまとめた、一周忌追悼オリジナル文庫。

おすすめコメント

1993年から10年ほど続いた「週刊朝日」の伝説的連載「小耳にはさもう」。すでに何冊かの単行本になっていますが、その中でも特に人気の高いコラムを100本収録したベスト盤的一冊です。「クイズ番組は、多すぎるタレントを最も効率よくさばくことのできるシステムだ。」「稲川淳二が数え切れないほどの恐い話を記憶している、ということが何か一番しみじみと恐い。」といった具合に、時代を捉える豊かな感性、独特の着眼点と鋭い観察眼から生み出される発言は、今聞いてもとても新鮮な驚きに満ちています。有吉弘行とマツコ・デラックスを足して、さらに知性的にしたような稀代の天才コラムニスト、ナンシー関。ナンシー入門としてもオススメの一冊です。

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心温まる大人な笑いが楽しめる

父の詫び状

向田邦子

文藝春秋

1981.12.25

この本のあらすじ

宴会帰りの父に叩き起こされて夢うつつに土産を食べる福助頭の弟、母に威張り散らす父の声、転校した初日に教室に向かう気持ち、来客の多かった我が家の忙しい正月、温かいおひつの上で泣き泣きやった学校の宿題、おやつに食べた懐かしい“ボールとウエハス”、銀座に出かける日のおめかし、途中までは大成功だった初アルバイト、黒い服ばかり着るので黒ちゃんといわれた若い日々……昭和の「懐かしい家庭」を卓越した記憶で鮮烈にユーモラスに描く、向田邦子の第一エッセイ集。

おすすめコメント

いつの頃から切なさと可笑しさが表裏一体なものとして自分の中に存在するようになりました。きっと子供の頃はそうじゃなかったはずなのに。そんな大人のための笑えるエッセイがこちら。昭和エッセイの最高峰として名高い本書は、名人芸とも言える端正でキレの良い文章で綴られる著者の父親の不器用な愛情に、クスクスと笑いながらも不意に涙がこみ上げます。心温まる大人な笑いを楽しめる一冊。

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万能型の笑えるエッセイ

整形前夜

穂村弘

講談社

2012.7.13

この本のあらすじ

完璧な自分、完璧な世界を強く求めながら、平凡な日常の暴走に振り切られる生ぬるき魂の記録。人気歌人の頭からあふれ出す、思索のかけらを集めたエッセイ。

おすすめコメント

笑えるエッセイを求めた時に、この人の作品なら間違いないという作家が何人かいます。歌人の穂村弘もその一人です。彼の可笑しみは、処女エッセイ集『世界音痴』のタイトルが示すように、大人になっても上手に世渡りができない自分を「ダメな大人」としてユーモラスに自虐するところにあります。本作の中で著者は人を引きつける要素として何度か「共感と驚異」について言及していますが、穂村弘はまさに「共感と驚異」に満ちた人だなと思いました。誰もが身に覚えのあるような情けないエピソードを披露したと思えば、恐ろしいほどシャープに本質を捉える観察眼を発揮する。本作は特に「共感と驚異」のバランスが絶妙で、万人にオススメできる万能型の笑えるエッセイです。

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ナンセンスで知的な可笑しみ

長くなるのでまたにする。

宮沢章夫

幻冬舎

2015.3.23

この本のあらすじ

何を言っているのかよくわからない人に何回聞き返していいのか? 日常に溢れる、答えのない謎、些細な疑問、困惑。じわじわ笑えて、肩の力がすっと抜ける。NHK「ニッポン戦後サブカルチャー史」も話題の演劇界の異才による、真面目におかしい日常の考察。窮屈な世の中だからこそ読みたい、痛快無比な脱力エッセイ。

おすすめコメント

前に紹介した穂村弘的な可笑しみが好きな方には、宮沢章夫のエッセイもぜひオススメしたいです。自分を題材にしたシニカルなユーモアはとても穂村弘と共通する部分ですが、こちらはもう少しバカバカしくて脱力度が高いです。2013年には24年ぶりにシティボーイズのコントの演出も手がけています。ナンセンスで知的な笑いが好きな方にオススメですよ。

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いかがだったでしょうか。年を重ねてから読む向田邦子の味わい深さといったらないですね。さて、だんだん寒くなりオシャレが楽しい季節となってきました。そこで次週は「オシャレ欲を刺激する本」をお送りします。どうぞお楽しみに!

BOOK TRUCK

2012年3月オープン。BOOK TRUCKは公園や駅前、野外イベントなどの行く先々に合わせて、その都度品揃えや形態が変わるフレキシブルな移動式本屋として、新刊書、古書、洋書、リトルプレス、雑貨などを販売。

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